
天気予報では曇りですが、晴れ間の見える良い朝を迎えています。
この先お天気は回復に向かうそうで、今は気温19℃、今日の最高気温は27℃の予定です。
NZも今朝は20℃で半袖、あちらはこれから夏に向かっていますが、
こちらは文字通り、天高く馬肥ゆる秋の気配です。
枯れ葉か紅葉か、目線の先にあるもの
毎年今時期になると紅葉の便りが恋しくなるのですが、
南国さながらの鹿児島では霧島山系の奥深くまで分け入らないと観れないようです。
紅葉だと言って喜ぶ家内の目線の先にあるのは、
枯れ葉に過ぎないのですが、知らぬが仏。
勿論枯れ葉も良いものですが、ある秋も深まった日に、車で山道に迷い込み、
ふと気づいて周囲を見回すとあたりに人の気配は無く、
それこそ巻物絵巻に描かれた蒔絵の様な紅葉に遭遇して、
驚目を瞠らしたのは茨城での話です。
郷里の冬は今となってはこの身に耐え難いので、
安住の地を南国に置くのはまことに由なのですが、
紅葉とはその厳しい寒さがもたらす恵みの一つとも言えるのでしょう。
そう考えれば幅70メートル高さ100メートル以上ある滝が
冬には氷爆となる北茨城に暮らす人々にも
そこでしか味わえない喜びや慰めを自然は与えてくれているわけです。
なのでその地の景色とは、元来そこに暮らす人々のものなのでしょう。
しかし人の記憶とは上手に編集されるようで、かつての厳しい生活はカットされ
麗しき情景叙情だけがつなぎ合わされて残ります。
旅人が旅の果に見出したもの
よって日常を離れる気分転換もときに必要でしょうが、
たとえ遠方まで旅して美しい光景を見に行ったとしても、
その地に暮らしていなければ、本当の美しさの一割も味わっていないのでしょう。
それでもコロナ禍以前の世界の人々はお金と時間を費やして
たとえその十分の一でも心の充足を求め、あちらこちらへと旅をしました。
禍(わざわい)のもたらす恵みが本当にある真実に今さらながら気付かされます。